偏愛ヴォーカリスト視聴室

あくまでヴォーカリスト重視の姿勢で聴く、極私的音楽レビュー&音楽関連のネタ帳。

トム・ジョーンズ

トム・ジョーンズにパンツを投げる理由。


女性はなぜトム・ジョーンズにパンツを投げるのか。
顔がいい……ならもっと男前がいるはずだ。
何となくにやけてるし、賢そうではない。

なんであんなキャーキャー言われたんだろうという答えらしきものを、資料で読んでた本に発見。

言葉はなぜ生まれたのか
言葉はなぜ生まれたのか
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えらーい教授が、子ども向けにわかりやすく書いた本の一節を、そのまま引用。

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ジュウシマツのオスは、求愛のために歌をさえずります。

また、より複雑な歌をうたえるオスほど、メスをひきつける力が強いことがわかっています。


なぜ、複雑な歌をうたうオスは、メスをひきつける力が強いのでしょう?

複雑な歌をうたって目立つということは、敵に見つかる危険も大きいということです。「自己の生存」のためには、無駄でバカげたことでしかありません。

しかし、発想を転換すると「複雑な歌をうたえるということは、それだけ余力がある証拠」という見方もできます。

頭脳がすぐれ、体力があり余っているからこそ、危険をおかしてバカげたことにエネルギーを使えるのです。

いっぽうメスとしては、じゅうぶんな余力を持つオスと交尾すれば、より生存に適した子孫を残せる可能性が高まります。

だからメスは、より複雑な歌をうたうオスにひかれる……と考えられるのです。


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……ぽん。←膝を打つ音





このムダな声と腰ふりは「余力」の現れらしいです。



そういうワケで3日は別の「より複雑な歌をうたえるオス」に吸い寄せられに行ってきます。



《余談》

8月3日は誕生日、いちばん聴きたい声を、それも生で聴けるとは。
いきなり1年分の運を、初日に使い果たす感もあり。

後厄抜けていい方に向かうよう、厄払いのシャウトを浴びてきます。

同曲バトル:「Try a little tenderness」


 課題曲として取り組んでいると、聴き過ぎて脳内にガタガタ騒ぐオッサンが離れない。「ジャズ詩大全」を紐解くと、あの村尾教授でさえ

「オーティス・レディングはジャズではないが、彼の歌うこのナンバーは、ジャンルなどという小さな枠を超えて、ジャズ・ファンも必聴の一曲である」

と推してるので、まずはコレ。


Otis Redding - Try A Little Tenderness
http://www.youtube.com/watch?v=dael4sb42nI
※猛暑の中で聴くと暑苦しくってしょうがないです。


レッスンの時に、先生と話し合う。

「私、この歌は『女ってのはさぁ、優しくしてやんなきゃダメなんだぜぇ』みたいに、兄貴分が弟分の恋愛を励ましてるようなイメージがあるんですけど」

先生は「うーんそうかなー、オレは『女って優しくしてほしいのよ』って、年上の女性が男に教えてあ・げ・る、みたいな感じもするなぁ。いくつか聴いてみよう」


iPadでYoutube検索。
※ピアノのアプリもあるので、レッスンに活躍中。


「この人なんかアニキっぽくない?」

Tennessee Ernie Ford - Try A Little Tenderness 
http://www.youtube.com/watch?v=2K3htqqytgg

「なんか時代がかってて大仰でイヤです…」


「あ、これはいいよ、女性が歌うならこんな感じだ」

Try a Little Tenderness / Ann Burton
http://www.youtube.com/watch?v=pfnUWMgxI6c

「おおーセクシー」

先生の言うところの「年上の女」感が出ている。村尾教授も本の中でアン・バートンのこの歌は勧めていた。


でも、私のアニキが見つからない。
家に帰ってからバリバリ検索。



オバサンやと思って舐めてたら、アニキになってしまった。

Sharon Quintal: Try A Little Tenderness
http://www.youtube.com/watch?v=-z0UlAFi8RM

この人何歳で誰なのか、日本語名もわからず検索できません。
気になるー
オバサンかっこえー


これは小娘が小首かしげて「女の子って優しくしてほしいのよ」と甘えてる感じ。

Connie Francis - Try A Little Tenderness
http://www.youtube.com/watch?v=UYUbvbCDYj0

もうすぐ37歳、中年女にはムリなバージョンだ。

芯のある女性のアドバイス風はこちら。 

Aretha Franklin- Try A Little Tenderness
http://www.youtube.com/watch?v=4ff5ACn3LV0

年齢はともかく、ボーカルのレベルが雲の上でムリな人。


アニキー、私のアニキーとさまよって、ああこの人かもと発見。

SAM COOKE - Try a little tenderness
http://www.youtube.com/watch?v=G94kCfpduAk

歌がどっかいっちゃうんだけど、「こんな声に慰められたい候補ベスト3」の3位にランクイン。 ふらふらとアマゾンに入り込んで買ってしまった。

ハーレム・スクエアー・クラブ 1963
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※慌てて買って日本語版出てたのに軽くショック。輸入版の方が安かったけど。


で、2番に滑り込んだのがこのアニキというか「オジ様」。

Tom jones - try a little tenderness



弟分に言うというより、女性に向かって「優しくしてほしいんだよね」と直接語りかけているような気がする。

大きな声、大きな手、きっと頭を撫でてくれたら、ぽっぽとあったかい手。

実は最近、ちょっとツライことがあった。
※その辺は別ブログで。

覚悟はあったけれど、なんで人生うまく行かないんだろう、と。

ずり落ちかけてた「肩の荷」をふんっと背負いなおし、
はいはいさっさと次のステージ行くよ〜と先頭を行く役割。

そんな強気な私も、トムおじ様にはお見通し。

It's not just sentimental,she has her grief and care
(ただ感傷的になればいいわけじゃない、彼女には彼女の悲しみや心配がある)

  And a word that's soft and gentle makes it easier to bear
(だから優しい思いやりの言葉をかけてあげれば、彼女はずっと楽になると思うんだ)

そうなの!
ちょっと一言、言われたいだけなの!

この辺のパワフルボイスったら、「トムおじ様ぁ〜(涙)」と胸板にすがりつきたくなる。実際、胸がしくしくして涙がにじんで来たり。


しかし、この後ぐらいからトムおじ様の「パワフル」が度を超えて行く。


「ちょっと!優しく!してやりゃいいのさぁぁぁ!!!」


ガッタ!ガッタ!ガッタ!ガッタ!


ああ、またも「シャウトしたいだけのオッサン」に成り下がっている
ノリノリで騒ぐトムおじ様を聞いてるうちに、笑いが止まらなくなる。

聴き終わったら気分が晴れ晴れ。
そうか、これがいつもトムおじ様の優しさだった。


後日、ジャズの先生との会話。

「トム・ジョーンズのバージョンがバカっぽくて最高です」

「オレ、生で観てトム・ジョーンズはバカだと確信したね。あの年であんだけ日焼けしてるってバカの証拠だ

「つまり、松崎しげるもバカだと…」

「トム・ジョーンズは『世界規模の松崎しげる』だよ!知名度も声も」


その日はレッスンでメロディを見失い、変なフェイクが入りまくって指導されまくり。

「どうしたの」

「頭の中で5・6人が違う歌い方を…」

聴き過ぎて元ネタわからなくなりました。
「ちょっと優しくしてあげて」はアニキかアネキか女性の自己申告か。


「慰めてもらいたい声ナンバー1」の先生に聞いてみたいものです。
ええ、8/3が今のところ生きる気力ですとも。



トムと先生と私。


  最近、仕事で疲れた帰りは、必ずトム・ジョーンズを聴く。
 まさにカンフル剤、一発で気分が上がる



 元基先生じゃないのーと思う方は多数いらっしゃるだろうが、正直、仕事疲れにVOW WOWはしんどい。トムおじ様の「よくあることさ」なんか聴いてると、元基先生がこんなの歌ってくれてこんなのCDにしてくれたら絶対に聴くのにと、ライブでの「Hallelujah I Love Her So」あたりを思い出している。

 あ、そういやNOIZはわりと帰り道に聴いてるかも。



NOIZ  (紙ジャケット仕様)
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 ※「若気の至り」的、バカっぽい曲があるのがツボ。



 トム・ジョーンズに出会えたのは、元基狂いがあってのことだ。ジョン・フォガティもスティーヴ・マリオットもチェット・ベイカーも、みんな。その中で、最大の「聴けてよかった」は文句無しにトムおじ様。あの暗さの微塵も無い大らかさと明るさに、何度も救われた。別のヴォーカルの曲から同じ音量で切り替わって、声がデカ過ぎて爆笑したのはトム・ジョーンズぐらいだ。



 ある日、フィギュア・スケートのペアがエキシビジョンでプリンスの「Kiss」を使っており、プリンスにしちゃ声太くね?みたいなコメントをどこかで見かけたが、あれはトムおじ様のカバーなのだようふふふと一発でわかって喜んでしまう。


グレイテスト・ヒッツ
グレイテスト・ヒッツ
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※↑ これに入ってます。



 よく彼のことをセックス・シンボルというけれど、私には「お笑いの域まで戯画化されたセックス・シンボル」に見える。「This is Tom Jones」で、毎回番組の最後に彼のライブシーンがある。もう客席の女子がキャーキャー言って手を差し伸べて、トムもぶちゅぶちゅキスして回るんだけど、いやらしくもうらやましくもない。ネタとして1回ぐらいは楽しそうだなぁと思うだけ。そう、「楽しそう」。これがぴったり。
 

 歌ってる姿、チープな演技をしてる姿、腰振って踊ってる姿。 

 ひたすら人生と歌と今を愛している人に見える。

 あんなお気楽にすっげー声出すんだから、ゲストはさぞかし頭が痛いことだろう。


 Little Richardという人が一緒に出てる場面があり、滝のように汗を出してシャウトしてたのには同情した。



 ヴォーカル界を照らす太陽。
 歌声の国の王様、トム・ジョーンズ

 
 そこに、暗い影を背負ったゲストがやってくる。
 彼女はスポットライトもテレビカメラも苦手なのか、手をもじもじと揉みながら一曲歌った。


 ジャニス・ジョプリン

 2曲目、王様は彼女と歌う。
 彼女のシャウトに呼応して「お、やるね」という顔で叫び返す。

 大きな声に、大きな声で。 
 ジャニスがキレまくってる。

 何かキメてんだろうか、うれしーたのしー気持ちイイッがダダ漏れ。
 トムおじ様と腰をぶつけそうになりながら、髪を振り乱して踊り狂う。 
 オスメス獣同士のシャウト合戦、止まらない雄叫びに興奮する。


 こんなにも、喉と身体で交信しまくってるのに。
 曲が終わってトムがジャニスを抱きしめようとすると、腰が引けている彼女がいる。
 
 
 バッカだなぁ、トムおじ様はなーんにも考えてないんだから、なーんにも考えずに甘えて抱きついちゃえばいいのに。今さら、画面のこっちですでに亡くなった彼女を心配する。
 ※単にトムが好みじゃないのかもしれないけど。


 トムの太陽に照らされてギラギラに輝いてる彼女が、まぶしい。
 暗さを持つ人間に、やっぱりトム・ジョーンズはカンフル剤だ。

 ジャニスもクスリじゃなくて、トムのそばにいれば良かったのに。
 ……なんて、今さら大きなお世話なことを考えてしまうのだった。


 Tom Jones & Janis Joplin - Raise Your Hand  
 http://www.youtube.com/watch?v=Lhj7szMg6Wc



 そして、トム・ジョーンズを愛している先生を愛している私は、先生がジャニスも愛していることを思い出す。
 ※この辺、ややこしいけど無視してください。
 
 「俺の歌」のところで、失礼なことを思い込みで書いた気がする。


 先生はちゃんとジャニスの「Move Over」が大好きで、そしてジョー・コッカーの「You're So Beatiful」も大好きで。その上で「俺は俺の歌い方で」歌ってるだけなのに、極端に書きすぎてしまったんじゃないか。「書かなきゃプレッシャー」で発言の断片を取り上げてしまいがちだったので、反省中(レポ修正済み)。


 ステージの上や過去の文章の中で褒めてた、たくさんのヴォーカリスト達を改めて数えてみる。ジャニスもジョー・コッカーも、オーティス・レディングもスティーブ・マリオットも。元基先生が紹介するヴォーカルが、外れたことはない。ヴォーカルの国の指南役としても、最高の先生


 人見元基起点じゃなければ聴かなかったはずのトム・ジョーンズを、失敗仕事の帰り道(※)に聴きながら。この声を教えてくれてありがとう、と素直に思う。落ち込んだ気持ちを「よくあることさ」とあの大きな声で追い払ってくれる。携帯プレイヤーから切らしたことはない。


※昨日の「レジュメ無し事件」の犯人は私の「送信忘れ」であった(涙)。



 一つだけ、元基先生に聴いてみたいことがある。

 あれだけラブなトム・ジョーンズの曲の中に「俺の歌」は無いのだろうか。


 「何かいいことないかい子猫チャン」なんて、どうだろう。


 (妄想中)


 You and your pussycat lips!
 You and your pussycat nose〜〜Yaaaaaahhhhhh----hiッ!!!



 ……どうしても最後に子猫チャンの鼻を突き飛ばしてシャウトしてしまう気がする。
 
 
 妄想が暴走しそうなので本家をどうぞ。


 Tom Jones - What's New Pussycat
 http://www.youtube.com/watch?v=VBdSqk78nHw
 あーやっぱりノー天気で大好きだー。

 こんなに好きなのに、半笑いで見てしまうのはナゼだろう。



 
 《余談》
 
 買ったDVDにはトムおじ様withジョー・コッカーの映像もあるのだが、これはあまり好みではなかった。ウザいヴォーカルが2人いると、落ち着かないことはなはだしいです。

This Is Tom Jones: Rock N Roll Legends (3pc) [DVD] [Import]
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 私の人生の望みがいくつかあるうちの一つに、「ラスベガスにトム・ジョーンズとベット・ミドラーを見にいく」があるんです。何年先になるかわかりませんが、元気でいてほしいものです。去年アルバム出してるぐらいだし、大丈夫だと思うけど。

24時間
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拾い物。

 全然ライブレポが進まない中恐縮なんですが、もうこの興奮がどーにも収まんないんでつい。

 最近、Last-FMで耳に止まった曲をアマゾンで検索することが増えて、物欲を抑えられないんですが、すぽっと目に止まった「This is Tom Jones」というDVDを輸入版なのにすーっと買っちゃったんですよ。

 

This Is Tom Jones: Rock N Roll Legends (3pc)




 これはトムおじ様が長くやってた番組のDVDなんですが、ずーっと探してた「ジャニス・ジョプリン&トム・ジョーンズ」というツーショットが拝める映像あり、ついでにジョー・コッカーとの絡みもありで「うわー欲しい!日本盤待てるか!」と購入、届くのを待ってたんです。


 ところが、何か押し間違ってたらしく届いたのはコレ↓。
  

This Is Tom Jones: Legendary Performers (3pc)


※実は押し間違えたのではなく、アマゾンの記載ミスと先ほど判明。
このDVDの収録曲はこちら>>


 あれージャニスないじゃんー!
 もうこの間からナニやってんだ私(涙)


 ……と嘆きながら、ラインナップを見て「キャーーー」と歓声を上げてしまった。

 私の大好きな「フナコシ(※)&トム・ジョーンズ」っっっ!!!
 ※Blood,Sweat&Tearsのヴォーカル、デヴィット・クレイトン・トーマス

 しかも私が「ごほうびスポット(ハミングが元基先生っぽく聴こえる)」があって溺愛している「Blues,Pt2」を!トムと!



 早速パソコンに入れて鑑賞。


 若いフナコシが「Spinning Wheel」を歌い上げ、長い長い前奏(ではないだろうがプログレでのヴォーカル待ちパートを私はそう認識してしまう)が始まる。

 
 そこにスーツ姿の伊達男風、若いトム・ジョーンズがもったいぶって登場。
 偏愛ヴォーカルの2ショットに思わず前のめりになる。

 
 「ごほうびスポット」はフナコシが「Muーー〜ーー…」と入ってくる。

 
 うわー映像見られると思ってなかったよーぐにゃぐにゃとモニター抱きかかえんばかりになったところに、ぶわーーーっとトムおじ様の「どや声」


 どやどやエエ声やろぉ〜いええええーーーーーーい!
 ↑言ってません。イメージ。


 ふ、フナコシよりずっと声がでかい!
 余裕あり過ぎ!!


 我がフナコシはもう目を潤ませちゃって、憧れのトム・ジョーンズを必死で見つめながらけなげに歌っている。裏声シャウトとかがんばって聞かせてるんだけど「小坊主がんばれ」目線であやされっぱなし。

 これそういや元基先生が「確かにデヴィット・クレイトン・トーマスも巧いけど、子どもの頃、トム・ジョーンズとテレビで一緒に歌ってるの観たんだよ。トムの方が断然ウマくって声も太くてさぁ(はぁと)」と語ってた映像じゃないだろうか。放映は1969年、39年前=元基先生11歳!どんな小学生だ!この映像の前で「トムすげー」と興奮してた小坊主が目に浮かぶ。坊主、大きくなったらああいう化け物みたいなスゲー声が出せるようになってるから心配するな、と肩を叩きたくなる。
 
 映像は最後の「てるみー」シャウトの連打を迎え、偏愛ヴォーカリスト2人の掛け合いで叫ばれまくってイスから転げ落ちそうになりながら鑑賞。
 ※この「てるみー」妄想については次のライブレポでこってりと。


 ふー幸せだった。


 次に目に止まったのがトニー・ベネット&トム・ジョーンズの「Fly me to the moon」。


 もうそりゃ多大な期待を抱いてかけたんですよ。
 当然でしょう!
 元基ライブの余韻もあるし、これまたどちらも偏愛ヴォーカルだし。


 トニー・ベネットが私の目を見つめながら(ただのカメラ目線)大好きなヴァースの部分を語りかけるように歌う。ちょっとはにかんだりもする。いい、いいなぁ。


 しかし、そこでふっと場面と伴奏が変わってしまった。

 あれ?

 ぴこぴこうわーーん系の電子音が入る「Fly me to the moon」って?

 
 そこに登場したトムおじ様。

 SFチックなタイツ姿、股間に懐中電灯っぽいものが浮いてる衣装で腰振りながら「ふらいみっとぅざむーん♪」と歌いだす。周りの女子ダンサー達に色目を使いながらノリノリで歌い上げ、あげくにシャウトまでしてしまったのを見て、別の意味でイスから転げ落ちそうに。


 元基先生ですら「ヴォーカル的衝動」を抑えてるってのに、この曲でシャウトするなんてどんなケダモノヴォーカルだよ!トニーの作った優しい空気がぶち壊し。歌詞の意味とか考えてないだろうオッサン!!


 でもこの節操の無さとアホみたいな陽気さが、愛されるゆえんなんでしょうか。

 まぁいいや、トニー・ベネットの「Fly me to the moon」に関してはコレ↓も届くの待ってるとこだし。

 

Mtv Unplugged


※「Fly me to the moon」はライブでマイクなしで歌ってたそうですよ。しかも70歳超えてから!


 
 届いたDVDには、これまた野太い声ラブな「ジョニー・キャッシュ&トム・ジョーンズ」も入ってるので、大事に観ようと思います。

 間違えて買ったけど拾い物、もちろん買い損ねヴァージョンも購入予定、その分は今からやる仕事で補填します。


 ……もう今月はアマゾンには近寄るまい(反省中)。 

  

「自由への疾走」 Vo.トム・ジョーンズ/ロビー・ウィリアムズ


Reload





 元基先生がステージに立っていた日、事前に分かってたら行けたかと問われると悩んでしまう。


 その日、私は灘中学に合格した親子の取材で神戸にいたからだ。
 午後3時半からの取材。
 東京から来た男性カメラマンは、初対面だった。


 無精ひげにメガネ、久々に「取材相手との名刺交換時に名刺入れを落とす」36歳のドンくさい慌て者。少々不安だったが、子どもの表情をほぐしながら、さすがのプロ仕事をこなしていた。

 無事にインタビューと撮影が終わり、カメラマンと大阪行きの普通列車に乗った。
 そこで「食うための仕事とライフワーク」みたいな話になった。


 カメラマンは言う。

「カメラが好きで、芸術系の大学出てこの世界に入ったんですが、こういう『食べるための仕事』は何も蓄積するものがないんですよね。苦ではないけれど、1つずつの仕事が、自分の中を通り過ぎていってしまう。もっと人が撮らないような、自分だけのテーマを見つけたいです。いい加減、いい年だし(笑)」



 そういや落語家のカッコいい写真集出てましたよね、そうそうスポーツカメラマンもいい人いるんですよなんて話しながら、ライターである私も答える。


「私も取材や特集書くのもキライじゃないんですが、どうしても書きたい人が2人いるんですよ。一人は歌舞伎の義太夫さんで、一人は歌を歌う人で。別にどうこうできる当ても無いんですが、ネットと取材ノートの蓄積だけはダラダラと……」


 そこから、音楽の話に流れた。

 カメラマンは照れくさそうに「僕、フォークが好きなんですよ。森山良子の最新のカバーアルバム、いいですよ!そう思ってたら、先週の撮影が森山さんだったんですよ!」と興奮して教えてくれた。いやーわかるよ、幸せそうでこっちも嬉しくなってしまう。

 
「春夏秋冬」森山良子


※選曲いいなぁ


 「じゃあ、本人に向けて思いっきり熱く語れたでしょう」
 「えぇ!でも『それは俺の仕事だ』とライターに怒られました(笑)」

 ほのぼのと村下孝蔵もいいですよね、実はさだまさしも好きなんですけどーなんて言いながら何駅か。

 「洋楽は聴かないんですか?」と質問したら、「知らないと思いますけど、一人だけ……」とカメラマンが恥ずかしそうに言う。

 「トム・ジョーンズって人がいて
 「きゃー好き好き!」
 「あの声、初めて聴いた時、びっくりしたんですよ。物凄い爽快感!」
 「めっちゃぶっとい声ですよね〜」

 
 そこでムーボ君を取り出し、上記のCDをお勧め。
 若手とのコラボでロックありポップスありエロおじさんモードあり。
 ヨーロッパで売れ売れだったアルバムですよ!と力説。

 知らなかったそうなので「早速買いますー」と喜んでもらえた。

 
 それから、私がトム・ジョーンズを知ったのは、さっき言った「書きたいヴォーカリスト」が好きな歌手なんで云々と、初対面の人に3駅分ぐらい元基愛を撒き散らしてしまった。

 
 つまり私はこの日、かなり元基モードに入っていたので、それだけに「うっそー歌ってたのー!」とショックが大きかったのである。


 大阪で彼と別れて新大阪の事務所についたのが18時半。
 新幹線そのまま乗っても「You're the one for me」は聴けなかったはず。

 チクショーくやしーと言いながら、今日はずっとカメラマンに勧めたトムおじ様のアルバムを鑑賞。

 ※癪なので元基先生はしばらく排除。何の効果もありませんが。  

 このアルバムの、特にレニー・クラヴィッツのカバーをやってる『自由への疾走(Are You Gonna Go My Way)』がいい。一緒に歌うロビー・ウィリアムズもがんばっちゃーいるんですが、冒頭に『Come'on!』と叫ぶ声からもう余裕ばりばり、小僧に胸貸してやるぜっていうトムおじさんの圧倒的な声量がたまらない。

 喉締めシャウトでゼイゼイ追いかける若手を尻目に、両手広げて自由へ向かって駆け出して行ってしまうパワフルなオッさんの姿が浮かんで仕方ない。


 「Yes baby! Got to Knowー!」の「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉうぅぅぅぅぅ」と伸ばす語尾のたっぷり感、しくしく落ち込む聴き手の気持ちをぐわっと底上げしてくれる。


 実際、トム・ジョーンズがこのアルバムで「僕の歌の“アップリフティング”な力を見せたかった」と言うとおり、若手相手に一歩も退かないどころか引きずり回す勢い。全編通して、アゲアゲな気分(古っ!)になること間違いなしの御年57歳の時の作品。


 お陰で凹んだ気持ちも復活、トムおじ様がこんなに元気なら例の先生(50歳)もまだまだ楽しませてくれそうだ、そーだそーだ夏があるさと気持ちを切り替えられた感謝をこめて。


 トムおじ様、ありがとう



 《余談》

 カメラマン曰く「機材の性能が良くなりすぎて、前は思い入れがあっても技術が無いと撮れなかったものが『思い入れだけ』でもかなりいい写真が撮れるようになってます。だから、写真も覚えるといいですよ」とのこと。


 前から編集者には「カメラもできると仕事が増える」とは言われていますが、昨日もデジタル一眼レフのコーナーでしばし悩んでいました。もう1人「撮り続けたい」被写体はそばに転がってるんで(親バカ思考)ムダではないけど予算が……。


 清太夫さんは松竹や演劇界という雑誌がバリバリ撮ってるんで大丈夫ですが、酔っぱらいヴォーカリストのステージ写真、ちゃんとどなたか記録していることを祈っています。

番外編:出張先の楽しみ。

 東京出張はまず清さんの生声「俊寛」の鑑賞からスタート。役への入れ込み具合が前に観た時より凄まじく、例によってボロ泣きし、まだ仕事前なのに化粧が崩れまくってしまった。
※レポートはまたいずれ。


 さて、東京へは何のために来ているかというと、決して歌舞伎とかライブのためではなく(なんかここだけ読んでるとそう見えるけど)「出張経費<取ってきた仕事」にならなければ意味がないので、午後からはひたすらウロウロ。


 今日の営業活動で一応、ノルマは達成。ただ取材系や月末締めの仕事が多く、ここの更新も確実に止まりそうな勢いで受注してしまった。でも久々に、「よろしくお願いします」と挨拶して外に出た後、その会社の前で「キャーーーーッ」と道行く人に抱きつきたくなるような仕事(どんなだ)に巡り合えたので、よかったよかった。


 もう一つは相変わらず、プロデューサーの立場である編集者に「読者層がコアじゃないですか」と渋られつつ進まない出版企画。教育関係者と保護者が読めば十分な人数だと思うのはこっちの甘さみたいで、再び取材とリサーチの宿題を出されてトボトボ帰る。(音楽ギョーカイと一緒で、知名度がないとある程度の読者数は確保しておかないと心配らしい)



 疲れきった私を癒してくれるのは「ベッドの上で酒を飲みながらYoutube三昧」という出張中の悪癖。LANケーブルは必ず長いのを持参する。うだうだと明日の商談資料を広げつつ、結局はフレディのタイツ姿を微笑んで見守っている自分に気がつく。アブない。
  

 人に会う場合、エネルギーを持っていかれる方ともらう方があって、今日はオール“持って行かれ系”だったので、できるだけ燃料チャージな男声を!ということで、久々にトムおじ様を探訪。


 若い時代を人に薦められたので、チェックしてみる。
 

 http://www.youtube.com/watch?v=WVzrWIbTl2s
 「It's Not Usual」 歌は素晴らしいですが、このとぼけた手拍子と踊りが気になる…

 http://www.youtube.com/watch?v=jzmEe85Og2s
 「I Belive」 これいいなぁ、5回ループしてしまった(うっとり)

 http://www.youtube.com/watch?v=i8HtKf57xXA
 「What'd I say」ロックしてます。途中で切れるのが惜しい!


 私がYoutubeが好きなのは、色んな国の人のコメントがついてるところ。「solid, powerful and real feelings ... one of the best all time vocals ! 」なんてコメントを見て離れた島国でうなずいてるうちにズブズブと深みに…明日もあるからこの辺でやめておこう。(探してた映像があったけど挫折)


 最後に、セクハラにしか見えないエロ親父っぷりを堪能して寝ます。
 http://www.youtube.com/watch?v=61AGpGcfKoQ

 このアルバムに入ってて好きなんですが、映像で観ると別の意味で悩ましい。
 相手の女子に訴えられかねないアブラ、出てます。

 さー、オヤジ汁浴びて、明日もがんばるか(謎)。



《余談》

 今回はいつものホテルが取れずウィークリーマンションに。カードキーがちっとも開かず、フロントで訴えたら「それは表裏を逆に差し込んでます」と言われて恥をかきました。それから一番ショックなのは携帯の充電器を忘れたこと。あの電池を入れる簡易充電器を買うのも3つ目になると、さすがに凹みます。

 Muvo君の充電用アダプタはしっかりカバンに入ってたのに…

「Something In The Air」 Vo.トム・ジョーンズ


「Fly」サラ・ブライトマン

「あれ?サラ・ブライトマンのCDなのに?」
 
 …その通り。このデュエット曲こそ私をトムおじ様に開眼させたナンバー。今や世界一お高い女性アーティストの感のあるサラ・ブライトマンですら、おじ様の引き立て役にしかなっておりませんことよ(嘘です。サラもポップスへの才能を満開中)

 トム・ジョーンズは昔の人、なんて思っていた私の先入観をぶっ壊すロックで骨太な歌唱にびっくり。中でもコーラスにかぶせたささやくような声の後に、目いっぱい声を張ったサビのたくましさ!

 このトム・フェロモンに触発されてか、サラもおじ様の胸板に甘えるような色気をふくんだ愛らしいヴォーカル。2人が歌うのは明日への希望。サラが優しく導き、トムおじ様が力強く約束してくれる。

 ファンならこの一曲のためだけにでも、買う価値はある。衰えないって素晴らしい。

「何かいいことないか仔猫チャン」 トム・ジョーンズ


ベスト・オブ・トム・ジョーンズ

 前戯、もとい前奏なしの第一声。「ワッツ ニュー プッシ−キャッ!うぉ〜うぉううぉ〜ううぉう」でいきなりフェロモンをフルスロットルで注入され、すっかりトムおじ様の仔猫チャンと化してしまう。

 最近の洋画では「プッシー」と言えば女性器を指すことが多いので、「プッシーキャット♪プッシーキャット♪」と嬉しそうに繰り返すおじ様に頬を赤らめつつ聴いている。ただ、エロいけれどいやらしくはない。まるで王様のセックスのように鷹揚だ(経験したことは無い)。

 あの声で「I'll soon be kissing your sweet little pussycat lips(お前の可愛いくちびるにキスしちゃうよ)」なんて言われては、ジェンダー論もクソ食らえ、女はすべからく愛すべき仔猫チャンとして素直に下着を脱いでステージに投げるしかない。

 少ししゃがれた声も織り交ぜて、超一級の男声に口説かれっぱなしの2分8秒。

トム・ジョーンズ

 ハマリ歴:2週間
 出会い:人見元基が「中学のころトム・ジョーンズの声を聴いてショックを受けた」と言っていたので、1000円の安いバラード集を数ヶ月前に買ったもののピンと来ず。しかし、TOYOTAの車のCMで「イェーーーーーーーーーーーーーーーーーー」とものすごいロング・シャウトを鳴らしていて、一瞬「元基先生!?」とその声を調べたら結局トム・ジョーンズにたどり着いてしまった。

 その後、サラ・ブライトマンとのデュエット曲を発掘。もう尋常じゃないカッコよさでヘビーローテーションに。年なのに若い、クドい、エロい!

 50代のグレン・ヒューズを「御大」、40代の人見元基を職業も含めて「元基先生」、ロバート・プラントは私の中で「世界一美しいロックボーカリスト」として30代で時間が停止しているので「プラント様」と呼んでいる(フレディーは限りない愛をこめて呼び捨て)。

 さて、60代のトム・ジョーンズ。「大御所」長い。「師匠」イマイチ。「キング」いや、日本語がいいな。迷っていたのだが、ライブDVDで「せっくすぼむ♪」なんて腰振ってるお色気たっぷりの御姿を見て、少し危険な香りも絡めて「おじ様」と呼ぶことにした。

 トムおじ様。毎日アマゾンからCDが届いて大変です。キャリア長過ぎ。CD多過ぎ。…しばらく楽しませていただきます。
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